W.陸上競技のルール(規則)について

@ 大会全般について

1.公認大会について

以下の4つの条件下で行われる大会の記録が公認されます。
・陸上競技場が日本陸上競技連盟の公認競技場である。
・審判が日本陸上競技連盟の公認審判員である。
・日本陸上競技連盟の規則に従って競技を行われた場合。

・公認申請されている競技会である。

2.公認記録について

 公認大会で出された記録でも公認記録として認められない場合があります。
100m、200m、80mH、100mH、110mH、走幅跳、三段跳の各競技では追い風が2mを超えて吹いた場合は、公認記録になりません。ただし、混成競技(四種競技)の場合は追い風4mまで公認となります。

3.スパイクについて

 スパイクのピンは11本以内であれば何本でも構いません。また、ピンの長さは競技場によって規定があり、全天候競技場では9o以内(走高跳、やり投げは11o以内)、全天候競技場以外では25o以内です。

4.用器具について

 競技に使用する用器具は、競技場の検定証のある用器具を使用しなければなりません。個人の物は使用出来ませんが、棒高跳用のポールは個人の物が使用できます。

5.ナンバーカード(ゼッケン)について

 競技者はナンバーカード(ゼッケン)を付けないで大会には参加できません。かならず胸と背中の正しい位置に四隅を付ける必要があります。ただし、棒高跳,走高跳の場合は背部,胸部の1枚だけで構いません。また、写真判定を行う大会では腰ナンバーカード(腰ゼッケン)を付ける必要があります。取り付ける時に折り曲げたりすることは禁止になっています。布の大きさは胸・背中用が24p×20p 腰用が18p×12p 文字の大きさは10p、太さ2p以上という規定もあります。

6.競技者に対する助力

 選手を呼びつけてアドバイス(助言、助力)をしてはいけません。競技役員に注意され、くり返し行われる場合は選手が失格になることもあります。

7.アマチュア資格について

 陸上競技規則にはアマチュア資格の規定があり、競技場内のグランドに商品名のついた衣類やバッグを持ち込む場合、商品名(ロゴ)が規定より大きいと広告となるために禁止されています。

8.失格などの判定について

 各種目の競技進行は各競技役員が行うが、最終的な判定や規則上の問題等が起きた場合はトラック・フィールド審判長が行います。

A トラック競技について

1.スタートについて

(1)短距離のスタート

a.短距離(100〜400m)のスタートはクラウチングスタートを用いなければなりません。また、「用意」の時、両手を地面に付けなければなりません。スタートラインは、競技距離に含まれているので触れてはいけません。(大会によってはスターティングブロックを使用できるので普段より学校でスターティングブロックを使用して練習をしましよう。)
b.2回目のフライング(不正出発)をした場合、その選手が1回目でも失格になります。(混成競技では同一選手が2回)
c.リレー種目の第1走者はスタート時、バトンを地面に着けても構いません。

(2)中・長距離のスタート

a.中・長距離(800m以上)はスタートはスタンディングスタートを用いなければなりません。この際、「位置について」の後「用意」の合図はなく、全ての競技者が静止した時、出発のピストルを発射します。
b.スタートラインは、競技距離に含まれているのでラインを踏んだりしてはいけません。

2.競走中について

a.短距離走はセパレートレーンで行われ、各競技者はスタートからフィニッシュまで自分に割り当てられたレーンを走らなければなりません。左側の白線は他人の線になるので踏み越えたり、踏んでは行けません。右側の線は自分の線なので、踏んでも構いません。
b.長距離走はオープンレーンで行われます。オープンレーンはトラックのどの部分を走っても良いことになっていますが、ほかの競技者を邪魔するために、肘でついたり、走路をふさぐ行為をした場合は失格になることもあります。

3.ゴールについて

トラック競技で競技者のトルソー(胴体)がフィニッシュライン(決勝線)を通過したときに着順が決定されます。トルソーとは胴体のことで頭,頚,腕,脚,手,足を含まない部分のことをいいます。

4.リレーのオーダーについて

リレーチームの編成メンバーは一度予選に出場した後でも、そのメンバーを2人以内ならば、他の競技者と交代することができます。また走者順も変更できます。ただし、予選など前に走った競技者が一度他の競技者と代わった場合、再びリレーチームに戻ることは出来ません。

5.ハードル競技について

競走はセパレートレーンを使い、自分の決められたレーンを走り通します。脚がハードルの外側にはみ出て通ったとき、自分のレーン以外のハードルを跳んだり、わざと手または足でハードルを倒したときは、いずれも失格になります。インターバル(ハードル間)を3歩で走らなくても失格にはなりません。

B フィールド競技について

1.走高跳

競技者は片足で踏み切れば、フォームは自由です。
次の場合は1回の無効試技になります。
 ・バーをバー止めから落としたとき。
 ・身体が支柱の面またはその延長した面に触れた後、試技を中断した場合。
競技者は最初の高さを含めてどの高さから跳んでも構いません。また、つぎの高さを跳ぶのも自由です。ただし、3回続けて失敗すれば競技を続けることは出来ません。

2.棒高跳 省略

3.走幅跳

8人を越える競技者が競技を行う場合は、各競技者には3回の跳躍ができます。その中で上位の成績を得た競技者8人がさらに3回の跳躍ができます。第8位と同記録の者がいた場合、セカンド記録、サード記録のよい者が残ります。全て同記録の場合は8人を超えてさらに3回の試技をすることが出来ます。
次の場合は1回の無効試技になります。
 ・踏切線(踏切板の砂場側の縁)を越えて踏み切った場合
 ・跳躍が終わってから、砂場の中を歩いて戻った場合(かならず砂場前方から外に出る。)
 ・とんぼ返り(宙返り)のようなフォームを使った時

4.砲丸投

8人を越える競技者が競技を行う場合は、各競技者には3回の投擲ができます。その中で上位の成績を得た競技者8人がさらに3回の跳躍ができます。第8位と同記録の者がいた場合、セカンド記録、サード記録のよい者が残ります。全て同記録の場合は8人を超えてさらに3回の試技をすることが出来ます。競技者はサークルの中で静止した状態から投げ始めなければなりません。砲丸をあごから離したり、肩の線より後方に持って構えてはいけません。競技者は投げた砲丸が地面に落下する前にサークルから出たり、サークル後方から出なかった場合、ファウルになります。(サークルに入る場合の規定は特にありません。)有効角度内に落下した場合のみ有効試技になります。砲丸の跡がラインに触れている場合は無効になります。投げる時に、指にテープを使用することは禁止されています。ただし、滑り止め剤(タンマグ)を手に着けることは認められています。

C 用語について

☆トレニーングに関すること

・W−up〔ウォーミングアップ〕・・・準備運動全般のこと。
・C−down〔クールダウン〕・・・整理運動全般のこと。
・ストレッチ・・・筋肉を伸ばした状態を数秒間続ける柔軟体操。
・補強運動・・・体力作りの一環として、筋肉など鍛える運動。
・流し〔W-Sprint〕・・・全力走の7〜8割程度で走り、フォームの矯正や、準備運動として行う。
・イメージトレーニング・・・理想的なフォームを、繰り返しの頭に描くこと。
・ストライド・・・歩幅のこと。
・バウンディング〔跳躍走〕・・・脚のバネ、キック力を生かし、交互に大きくジャンプすること。
・加速走・・・助走で加速を付けてある一定の距離を全力で走る方法と、徐々に加速して走る方法とがある。
・タイムトライアル(T.T.)・・・記録の計時をすること。
・インターバルトレーニング〔不完全休息〕・・・疾走とジョック(完全に休息を取らない)を繰り返す練習方法。
・レペティショントレーニング〔完全休息〕・・・全力疾走またそれに近いスピードで疾走した後、疲労が完全に取れるまで積極的な休息を取ってから疾走を繰り返す練習方法。
・ペース走・・・長距離の練習方法で、ある一定の距離を設定されたペースのタイムで走り続ける練習法。
・ビルドアップ走・・・長距離の練習方法で、ある一定の距離を徐々にペースを上げて走る練習方法。(ビルドダウン走は反対にペースを下げて走る練習方法。)

☆競技全般に関すること

・タータントラック・・・全天候型の走路のこと。ウレタンなどで舗装されており、専用のスパイクピンが必要。
・シンダートラック・・・土の走路のこと。〔アンツーカー〕
・ナンバーカード・・・ゼッケン・番号布のこと。
・競技者係・・・選手係のこと。招集を行う係。
・コール・・・招集のこと。競技に参加するか確認をすること。
・アナウンサー・・・通告員のこと。競技場に放送をする係。

☆トラック競技に関すること

・オーダー・・・リレーを走る4人の順番。
・テークオーバーゾーン・・・バトンを受け渡す区間のこと。グリーンゾーンとも言う。
・ブルーゾーン・・・テークオーバーゾーンの手前にある加速に使用する区間、この区間でバトンを受け渡してはいけない。
・ラップタイム・・・トラック1周を要する時間。
・スプリットタイム・・・ある距離の通過時間。
・ホームストレッチ・・・正面スタンド側の走路のこと。
・バックストレッチ・・・バックスタンド側の走路のこと。
・インターバル・・・ハードルとハードルの間のこと。
・フィニッシュライン・・・決勝勝線のこと。
・レーン・・・コースのこと。

☆跳躍競技に関すること

・ピット・・・助走路から砂場までのこと。
・バー・・・棒高跳、走高跳の横木のこと。
・ファウル・・・走幅跳で、踏切線を越えて踏み切った場合。
・チェックマーク・・・助走をするときの補助マーク。走高跳は、テープ、走幅跳、棒高跳では数字の入ったマーカーを使用します。

☆投てき競技に関すること

・サークル・・・砲丸投を行う円形の場所。直径2m135。
・グライド・・・後ろ向きに構えたあと、脚を振り込んで、ホップする動作。
・足留め材・・・投げ出す方向にある木のこと。

以上、陸上競技で大切な規則や用語の一部を載せましたが、詳しくは陸上競技ルールブック,審判ハンドフックなどを見てください。東京陸上競技協会で購入できます。
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